労働保険事務組合

労働保険とは

雇用保険と労働者災害補償保険(労災保険)を総称したものです。

◆ 雇用保険とは、労働者が失業した場合などに失業等給付を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業を行います。

◆ 労災保険とは、業務上の事由や通勤による労働者の負傷・疾病・障害・死亡に対して、迅速かつ公正な保護をするため保険給付を行い、あわせて労働者の社会復帰の促進、労働者及び遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、労働者の福祉の増進に寄与することを目的としています。

労働保険は強制適用です

労働保険は、農林水産の事業の一部を除き、労働者を一人でも雇っていれば適用事業と
なり、その事業主は成立手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません。
労災保険法には、法第31条第1項において、「政府は、事業主が故意又は重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届を提出していない(いわゆる未手続の)期間中に生じた事故について、労災保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することが出来る」という規定が設けられています。この規定を費用徴収制度といいます。ただし、療養開始後3年間に支給されるものに限り、療養(補償)給付及び介護(補償)給付は除かれます。

【費用徴収の実施例】
A社では、今まで労災事故を発生させたことがなく、また保険料の支払が負担になることから、労災保険の成立手続を行っていなかった。
ところが先般、従業員B(賃金日額:1万円)が労災事故が原因で死亡し、遺族の方に対し労災保険から遺族補償一時金の支給が行われた。(故意の場合)
労災事故が起こる以前にA社が都道府県労働局の職員から労災保険の加入手続を行うように指導を受けていたにもかかわらず、その後も労災保険の加入手続を行わなかった場合は、「故意」に成立手続を行わないものと認定され、保険給付額の100%の金額が費用徴収されることになります。●遺族補償一時金の額(10,000円(労働者の賃金日額)×1,000日分)×100%=10,000,000円

(重大な過失の場合)
A社について、労災保険の加入手続を行うよう指導を受けた事実はないものの労災保険の適用事業となった時から1年を経過してなお手続を行わない場合には、「重大な過失」により手続を行わないものと認定され、保険給付額の40%の金額が徴収されることになります。

●遺族補償一時金の額(10,000円(労働者の賃金日額)×1,000日分)×40%=4,000,000円

詳しくは、厚生労働省ホームページへ
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/10/tp1003-1.html

労働保険料の負担割合

労働保険料は、労働者に支払う賃金の総額に保険料率(労災保険料率+雇用保険料率)を乗じて得た額です。そのうち、労災保険料は全額事業主が負担し、雇用保険料は事業主と労働者双方で負担することになっています。

(労働保険料)=(賃金総額)×(労災保険料率+雇用保険料率)

※ 労災保険料率…事業の種類により、1000分の3~1000分の103までに分かれています。
※ 雇用保険料率…下表参照

(令和6年4月1日 現在)
雇用保険料率 (事業主負担分) (被保険者負担分)
一般の事業 1000分の15.5 1000分の9.5 1000分の6
農林水産
清酒製造の事業
1000分の17.5 1000分の10.5 1000分の7
建設の事業 1000分の18.5 1000分の11.5 1000分の7
(保険料の計算例)

・食料品・日用品等の小売業、労働者数1名
・労働者に支払う1年間の賃金(控除前の金額)
3,300,000円(毎月20万円×12ヵ月、賞与45万円×2回)の場合

※ 小売業の労災保険料率は1000分の3、雇用保険料率は1000分の15.5

(労働保険料)= 3,300(千円)×(3+15.5)=61,050円

当該年度に支払う労働保険料は61,050円となり、更に労働保険事務組合へ事務委託をすれば3回の分割納付(7月・11月・2月)が可能なため、各期13,200円の納付となります。

労働保険事務組合とは

労働保険事務組合とは、事業主の委託を受けて、事業主が行うべき労働保険の事務を処理することについて、厚生労働大臣の認可を受けた団体です。

事務委託できる事務の範囲

  1. 概算保険料、確定保険料等の申告及び納付に関する事務
  2. 保険関係成立届、任意加入の申請、雇用保険の事業所設置届の提出等に関する事務
  3. 労災保険の特別加入の申請等に関する事務
  4. 雇用保険の被保険者に関する届出等の事務
  5. その他労働保険についての申請、届出、報告に関する事務

事務委託のメリット

労働保険事務組合に事務を委託することにより、下記の利点があります。

  1. 事務処理の負担を軽減します
    保険料の申告・納付や、雇用保険の取得・喪失手続、離職票の作成など、上記の事務手続を事業主に代わって代行致しますので、労働保険に関する事務処理の負担が軽減されます。
  2. 中小事業主・役員・家族従事者も労災保険に加入することができます
    本来労災保険は、労働災害に遭われた労働者や遺族に対して支給される補償給付ですが、事務組合に事務委託をすることにより、中小事業主・役員・家族従事者も労災保険に特別に加入することができます。(特別加入制度)
  3. 保険料を分割納付することができます
    労働保険料の納付は、保険料の額が40万円以上(有期事業の場合は75万円以上)でないと、分割して納付することができません。
    しかし、事務組合に事務委託をすることにより、保険料の額にかかわらず、年3回に分割して納付することができます。
    尚、保険料と併せて会費(委託手数料)を納入頂きますが、こちらも分割納付が可能です。

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